【追記2021.12.13】
2021.11.30にMSCIの除外銘柄に指定されました。
それから現在かなり叩き売られている状況です。
現在385円とかなりの割安であることは間違いありません。
だだし、今後反発するのかは不明ですので、あくまで投資は自己責任でお願いします。
今回は株主優待で人気の【ヤマダホールディングス(9831)】(以下ヤマダHD)についてご紹介します。
現在、家電量販店銘柄の株価が軒並み下落していてどの銘柄も手が届きやすくなってきています。
ことヤマダHDに関しては5万円前後で買えるお手軽価格のわりに、総合利回り(配当と優待の合算額面)が高く、これから優待投資を始めたい方にオススメの銘柄となっています。
株価も長期的に見て下値ラインに到達してきている状況ですので、下限は限定的との判断で今回銘柄紹介でピックアップしてみました。
家族名義総動員して買い検討に入りました!
ただ、利回りや優待が良いからといって安易に飛びつくと痛い目に会うことも…
株価が暴落して大損した!
業績不振で優待廃止された!
こうした失敗をしないためには、銘柄を選ぶ際に利回りの高さだけに目を奪われてはいけません。
基本的に長期間に渡って高配当を維持している企業というのは「今後の成長が見込めない会社だが安定的な経営が出来ている」いわゆるおじいちゃん企業です。成長性が無いため、会社として新たな投資はしない代わりに利益を株主に還元する方針の企業が高配当となる所以です。
中には経営がガタガタで株価が暴落した結果、高配当となっている場合もありますし、年間の利益以上に配当として還元している企業でいつ減配されてもおかしくない場合など、いわゆる「罠銘柄」なんていうのも高配当の世界には多数存在します。
そんな罠銘柄に引っかからないためにも企業分析は必須です。
特にコロナ・ショックの影響により、業績の悪化を予想して株価の下落に見舞われている大企業も少なくありません。その一方で増収・増益で上方修正している企業もあります。高配当だからといって安易に飛びつかず、必ず業績の健全性を調べてから、買う、買わないを決めるようにしたいですね。
時間の無い人に、記事の要約です!
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ヤマダHD(9831)の事業概要
ヤマダホールディングスの事業は家電・情報家電等の販売や住まいに関する商品販売を行う「家電等販売事業」を中心に、「住宅事業」「環境資源開発事業」「金融事業」「サービス事業」の計5つの事業を行っている。
「strainer(ヤマダホールディングス事業内容・ビジネスモデル)」より引用
家電等販売事業
グループ企業 | 事業内容 |
大塚家具 | 家具の販売及び卸し ヤマダ電機の商品販売 |
沖縄ヤマダ電機 ベスト電器 九州テックランドProjectWhite マツヤデンキ、星電社 コスモス・ベリーズ | ヤマダ電機より商品仕入れ、販売 |
ワイズセレクト | ヤマダ電機より商品の仕入れ販売及び化粧品の製造販売 |
住宅事業
グループ企業 | 事業内容 |
ヤマダホームズ | 住宅販売及び住宅建築工事 ヤマダ電機よりリフォーム工事を受託及び商品仕入れ、販売 |
ハウステック | 住宅設備機器の製造 ヤマダ電機よりリフォーム工事を受託及び商品の仕入れ、販売 |
ワイ・ジャスト | ヤマダ電機店舗の建築工事及び電気工事請負 |
家守りホールディングス | 住宅に関する診断及びメンテナンス業務 |
環境資源開発事業
グループ企業 | 事業内容 |
ヤマダ環境資源開発 ホールディングス | 資源循環にまつわるビジネスの拡大 |
シー・アイ・シー | ヤマダ電機が顧客から引き取った産業廃棄物の収集運搬及びヤマダ電機から中古家電製品等の仕入れ、再生、販売 |
東金属 | ヤマダ電機より廃家電の仕入れ、リサイクル |
インバースネット | ヤマダ電機より中古パソコンの仕入れ、再生、ヤマダ電機へ販売 |
金融事業
グループ企業 | 事業内容 |
ヤマダファイナンスサービス | 住宅ローンの取り扱い及び生保、損保の代理店業務 |
ヤマダフィナンシャル | ヤマダ電機へクレジットカード取り次ぎ業務を委託 |
ヤマダライフ保険 | 保険の代理店業務 |
ヤマダ少額短期保険 | 保険商品の開発及び販売 |
ヤマダ不動産 | 賃貸紹介などの不動産業務 |
サービス事業
グループ企業 | 事業内容 |
ヤマダトレーディング | ヤマダ電機への住宅設備機器の販売 |
群馬総合設備 | ヤマダ電機より建物の空調設備工事・電気工事業務を引き受け |
テス | ヤマダ電機が顧客に販売した商品の配送及び取り付け工事を引き受け |
日本ツーリストクラブ | 旅行の代理店業務 |
ヤマダデリバリーワークサービス | ヤマダ電機が顧客に販売した商品の配送及び取り付け工事を引き受け |
ヤマダフードサービス | 飲食店舗の運営及び食材の卸し |
その他
グループ企業 | 事業内容 |
Y.U-mobile | 情報機器の仕入れ・販売 |
家電量販店ランキングTOP10
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会社名 (証券コード) | 市場シェア | 経常利益率 (平均5.02) | 時価総額 (2021.6.16終値基準) | 店舗数 (主要子会社店舗数) | PER/PBR (2021.11.17) | ミックス係数 |
ヤマダHD (9831) | 30.5% | 5.64% | 5,006億 7,800万円 | 678店舗 | 5.85 0.55 | 3.21 |
ビックカメラ (3048) | 14.8% | 1.73% | 2,163億 6,800万円 | 187店舗 (コジマ含) | 20.11 1.23 | 24.73 |
ケーズHD (8282) | 13.8% | 6.53% | 907億円 | 520店舗 | 7.63 0.85 | 6.48 |
エディオン (2730) | 13.4% | 3.62% | 1,182億 7,800万円 | 437店舗 | 8.78 0.54 | 4.74 |
ヨドバシカメラ (非上場) | 12.3% | 8.53% | – | 23店舗 | – | – |
上新電機 (8173) | 7.8% | 3.69% | 783億 4,400万円 | 220店舗 | 7.37 0.61 | 4.49 |
ノジマ (7419) | 4.6% (ノジマ単体) | 10.86% | 1,538億 6,900万円 | 189店舗 | 4.29 1.00 | 4.29 |
ラオックス (8202) | 1.4% | -4.15% | 172億 6,700万円 | 16店舗 | – 0.73 | – |
アプライド (3020) | 0.7% | 6.04% | 29億 200万円 | 26店舗 | 4.87 0.97 | 4.72 |
ピーシーデポコーポレーション (7618) | 0.7% | 7.66% | 241億 100万円 | 114店舗 | 39.76 0.76 | 30.21 |
家電量販銘柄は全般的に割安放置されている印象が高いです。そのため、インカムメインでの投資となりやすいです。
- ミックス係数とは
- 当期純利益と純資産から現時点の株価の割安性を評価する指標です。
PER(株価収益率)×PBR(株価純資産倍率)
ベンジャミン・グレアム氏は、ミックス係数が22.5よりも小さな銘柄が割安株だと述べています。ただし、この22.5という数値は米国株に当てはめた時の数値ということで、日本株の場合にはこの更に半分の11.25が妥当という見方もあります。
Kabutanより引用
ヤマダHDの配当&優待内容
株主優待制度
ヤマダHDの株主優待は同社で使用可能な「優待券」が頂けます。
利用条件
※ヤマダHDの株主優待の期限は半年です。
(1) 1回のお買上げ金額(1枚の伝票またはレシート)が、税込み合計金額1,000円以上につき1,000円ごとに、1枚(500円)の優待券が利用可能
(2) 1回のお買物での利用枚数は、表面に記載の有効期限内「最大50枚」までとなります。
2021年2月に株主優待を改悪
ヤマダHDは2021年2月に長期優待の廃止を発表しています。
この改悪に伴い、「100株~500株未満」の株主に贈呈される優待券の枚数が半分に減らされています。
さらに保有株数に関係なく、継続保有期間に応じて贈呈枚数を追加していた長期保有優遇制度も廃止されました。
●3月末
株数 | 改悪前 優待内容 | 改悪後 優待内容 |
100株~ | 1年未満:1,000円分 2年未満:2,500円分 2年以上:3,000円分 | 500円分 |
500株~ | 1年未満:2,000円分 2年未満:3,500円分 2年以上:4,000円分 | 2,000円分 |
1,000株~ | 1年未満:5,000円分 2年未満:6,500円分 2年以上:7,000円分 | 5,000円分 |
10,000株~ | 1年未満:25,000円分 2年未満:26,500円分 2年以上:27,000円分 | 25,000円分 |
●9月末
株数 | 改悪前 優待内容 | 改悪後 優待内容 |
100株~ | 1年未満:2,000円分 1年以上:2,500円分 | 1,000円分 |
500株~ | 1年未満:3,000円分 1年以上:3,500円分 | 3,000円分 |
1,000株~ | 1年未満:5,000円分 1年以上:5,500円分 | 5,000円分 |
10,000株~ | 1年未満:25,000円分 1年以上:25,500円分 | 25,000円分 |
もともと大盤振る舞いだった株主優待&長期保有制度でしたが、改悪によりかなりちゃっちくなってしまいました。
ただ、後ほど記述します総合利回りですが、まだまだ前線を張れるスペックであることは間違いありません。
配当金
2022年の予想配当金は非開示です。
直近5年の配当実績
ヤマダHDは中間配当はなく、期末一括配当になっています。
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
中間 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
期末 | 12円 | 13円 | 13円 | 13円 | 10円 | 18円 |
合計 | 12円 | 13円 | 13円 | 13円 | 10円 | 18円 |
ヤマダHDは連結配当性向30%以上を目標に、配当金額を決定しています。「YAMADA HLDGS.(利益分配に関する基本方針)」より
総合利回り
現在の利回りを計算してみます。
- 株価:418円(2021.11.18終値)
- 配当:18円(2021年実績)
- 優待:100株 1,500円
100株保有時の総合利回りは7.8%
これぞバリュー株!まだヤマダHDは戦えます!
配当だけでも4.3%と、仮に優待が無くなったとしても高配当投資基準に合格するレベルです。
しかし、ここで焦って飛びつくのは危険です。罠銘柄の可能性も考えて冷静に企業分析していきましょう。
企業情報を調べてみた!
株主優待や配当が高くて魅力的に映りますが、企業が安定して株主還元するには安定した収益が必須です。
ここではヤマダHDがこれからも株主還元し続けられるのか考察するために情報を精査していきます。
ヤマダ電気は「売り上げ高経常利益率5%以上」を営業指標として設定しています。
売上高推移は2017年を底に徐々に伸びてきているのが分かります。
前回、同業他社で高利回り銘柄のエディオン(2730)の記事で2022年の業績展望について少しご紹介しました。
今後の家電業界について、どの企業も2021年は営業利益・経常利益共に最高益を叩き出しました。これは政府の特別定額給付金が「巣ごもり需要」「テレワーク需要」「コロナ対策商品需要」を受けて資金が流入した結果、売上高に貢献した影響があります。
すなわち2021年度が特需で業績が伸びた分、翌年度は前年比ベースでの売り上げを作っていくのはハードルが高いと言えます。また家電量販店全般に言えることですが、白物家電などは毎年買い換えるものでもありませんので、さらに高いハードルになりそうです。
「ベビセフ(エディオン(2730)株価低迷で総合利回り8.1%!今が狙い目か!?)」
すなわち、ヤマダHDにしても「2022年度の売り上げ成長は難しい=株価上昇も厳しいのでは?」というのが私見です。
自己資本比率
ヤマダHDの自己資本比率の推移を表しています。期間は2010年~2021年です。
- 自己資本比率
- 自己資本比率は会社経営の安定性(倒産リスク)を示す数値です。
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%を占めるかを示す数値で、自己資本比率が高いほど経営は安定し倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は一般的に40%を下回ると高いリスク群と判断されます。
業種別では「小売業」の目安が36.7%(doda「自己資本比率とは?業種別で何%くらいが目安なの?」参照)に比べて高い水準で推移していることが分かります。
直近10年超の期間では40%~50%水準で安定して推移しています。特にここ5年は着実に自己資本比率が上がってきており、安心感のある水準です。
配当性向
ヤマダHDは配当性向も明示してくれています。
基本方針
- 継続的かつ安定的に配当を実施します。
- 今後も、成長投資や財務状況等を総合的に判断し、利益状況に応じた適正な水準で還元を行います。
連結配当性向30%以上を目標に、財政状況や当期の業績などを勘案して配当金額を決定しています。
配当性向は今後の減配リスクを予測する上でも重要な指標です。
ただ、同社の今期の配当は非開示となっていて、配当性向は不明です。
明示してある配当性向は30%ですが、過去の推移を見ていると上下幅のブレが大きいようです。
ただ、今期のEPSが70.58円(IR BANKより)でしたので、配当性向30円なら21.17円です。
あわよくば今期増配もありえるかも?と推察してしまいますが、あくまで参考程度の数字です。
配当金がブレるのは気になるポイントですね。
●純資産配当性向(DOE)
2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
1.1% | 1.0% | 1.0% | 1.8% | 1.9% | 1.8% | 1.8% | 1.4% | 2.4% |
だいたい1.5%~2.0%程度を推移しています。ただ、2021年の2.4%を見ると今後の配当金や長期優待の改悪も理解できなくはありません。
売り上げ高や利益ベースの配当性向では上下が激しく安定していない印象でしたが、DOEを見ることで大きく変動しているわけではないことが分かります。この水準で安定して推移しているのであれば無理してはいなさそうだと考えられます。(ただし2021年、お前はダメだ!)
- DOEとは
- 英語表記「Dividend on equity ratio」の略で「株主資本配当率」のこと。企業が株主資本に対してどの程度の配当を支払っているかを示す指標です。配当水準を示す指標としては、当期純利益に対する配当額を表す配当性向が一般的ですが、当期純利益は変動幅が大きいため、株主還元の状況を示す指標として近年では株主資本を基準にしたDOEを採用する企業が増えています。
株主資本配当率(DOE)=年間配当総額÷株主資本×100 (%)
または、
株主資本配当率(DOE)=配当性向×自己資本利益率(ROE)×100 (%)
「三井住友DSアセットマネジメント(わかりやすい用語解説:DOE)」より引用
ヤマダHDの成長戦略
ヤマダHDが今後も株主に還元し続けてくれるためには、企業としての中長期の成長が必要です。
そこで同社が今後どのような事業を拡大させていくつもりなのか、どんなビジョンを見据えているのか調べてみました。
ヤマダHDは創業50周年となる2025年には売り上げ2兆円を目標に、3つの柱を軸に事業成長を加速させる方針を発表しています。
3つの柱 | 売上成長 |
1.売り場面積の拡大 | +1,450億円 |
2.リアル&Eコマース事業拡大 | +500億円 |
3.各セグメント・事業会社の売上・利益最大化 | +1,190億円 |
1.売り場面積拡大
「暮らしまるごと」コンセプト戦略の下、店舗ネットワークの再編を進める計画。顧客ニーズにあわせた店舗業態開発し、商業エリア別の店舗の特色を生かした再編成を行う。
2.リアル&Eコマース事業拡大
・自社サイトの刷新
・テレビやラジオを通して情報発信量の拡大
・多彩な情報発信チャンネルを利用した集中販売品の投入
3.各セグメント・事業会社の売上・利益最大化
セグメント | 内容 | 2022年時点 | 2025年予想 |
デンキセグメント (リフォーム事業) | DX活用でリモート現調の全店運用 オリジナルクレジット開発(定額制プランなど) | 売上高 600億円 営業利益 30億円 | 売上高 1,000億円 営業利益 60億円 |
住建セグメント | 経営の効率化 営業拠点整備拡大 オーナーリフォーム受注強化体制強化 中古再販住宅事業拡大 | 受注棟数 8,000棟 売上高 2,800億円 営業利益 80億円 | 受注棟数 10,000棟 売上高 3,500億円 営業利益 150億円 |
環境セグメント | 顧客から回収した使用済み家電のリユース・リサイクル、 再商品化・再販の仕組み強化 | 売上高 307億円 営業利益 12億円 | 売上高 354億円 営業利益 20億円 |
金融セグメント | 総合金融業としてローンや保険、損保などの売上拡大 | 売上高 35億円 営業利益 8億円 | 売上高 78億円 営業利益 20億円 |
各セグメントともに今後成長を見込んでいるようです。家電販売を中心としながら、リフォームや金融、リサイクルなど同グループで循環を作って顧客の囲い込みを図っていく計画です。
ただ、やはり内需に支えられることが前提の計画ですので、今後の日本の成長次第といった印象です。
企業発表の株主還元計画
ヤマダHDは2022年以降のEPSは緩やかに拡大していくとしています。
連結配当性向30%以上を目標に明示しているのは分かりやすいですので、今後の業績を追いながら推移を見守ることにします。
ヤマダHDまとめ
現在、同社の株価は2021年3月22日の高値626円から右肩下がりで現在400円前後と年初来安値を更新し続けています。
この水準はコロナショック時以来の安値ですので、をろをろ一旦の下げ止まりが期待できる水準だと考えています。
利回りも7.8%と高利回りとなっていますので、ここいらの株価で家族名義で100株ずつ、少量買っておいて数年寝かせておくのも1つの方法だと思います。
他の家電銘柄も見ておこう!
今回はヤマダHDについて書かせて頂きましたが、他にも家電量販店銘柄について記事を作成しています。
よろしければ、そちらも合わせてご覧頂ければ幸いです。
このページは管理人が行っている株主優待投資の記録用です。記事の内容も執筆時のものであり、内容の正確性は保証致しかねますので、あらかじめご了承下さい。また特定の銘柄を推奨するものではありませんので、併せてご理解の程お願い致します。