近年「イクメン」というワードをはじめとした父親の育児参加が叫ばれていますが、なかなか難しいのが現状です。
父親の育児参加率は低水準のまま推移しています。
最近は子どもの寝顔しか見れてない…
母親ばかりに懐いて寂しい思いをしている父親も少なくないのかもしれません。
そこで今回は、短時間の関わりでも子どもが懐いてくれるようになる方法をご紹介します。
「家庭教育に関する国際比較調査報告書」によると、日本の父親は「生活費を負担する」ことに重点を置いています。
「食事の世話」や「しつけ」「勉強を教える」などの子どもの教育・お世話に関しては主に母親が担当することが多いと報告されています。
この背景には、父親の労働時間が大きく関係していることが分かります。
現に、父親の平均労働時間は週50時間と長時間拘束されており、家庭や子育てに関わる時間が極端に少なくなってしまっています。
この時間差から、父親と母親の子どもに対する関わり方の内容や密度に違いが出てきてしまっています。
父親の育児時間はわずか10分
6歳未満の子どもがいる家庭での父親の平日の育児時間はわずか10分と極端に短いことが分かっています。
これは、オムツ替えやミルクなどの直接子どもに費やす時間ですが、あまりに少ないと言えます。
また家事関連時間(掃除・洗濯)などの妻の家事負担を軽減するための手伝いも平日は20分、土日は1時間程度に留まっています。
ちなみに、総務省が行った「社会生活基本調査」(平成28年)によると、6歳未満児のいる世帯の父親の家事・育児時間は1時間23分(うち育児時間は49分)です。
一方、母親は7時間34分(うち育児時間は3時間45分)を家事・育児に費やしていると報告されています。
どちらにせよ、父親の育児割合が極端に低いことがわかります。
ほとんどの家庭がワンオペ育児がスタンダードです。
このように、多くの家庭では父親の育児参加率は壊滅的です。
子どもにとってみれば、ほとんど関わることのない父親よりも、いつも一緒に居てくれる母親ばかりに懐くのも無理はありません。
結論
子どもが父親に懐くようになるための方法、それは「父親による読み聞かせ」です。
「え?そんな簡単なことで子どもと仲良くなれるの!?」
と思ったの普段寂しい思をしているパパさんもいるのかもしれません。
もちろん、ただ読み聞かせをするのではありません。
ポイントは、母親から敬遠されている絵本をチョイスして、母親と違う切り口で読み聞かせることです。
子どもをとりまく環境の希薄化
近年は少子家庭や核家族化によって、人間関係の希薄化が進んでいます。
近所に子ども達がいない、ご近所つきあいも無い。
「子どもの1番の遊び相手がお母さん」なんて家庭も珍しくありません。
そんな育児環境において、各家庭での父親と子どものつながりの希薄化が心配されています。
地域の関係性が薄い上に、家庭内でも関係性が少なくなってしまっては、子どもの将来が心配されます。
各家庭での関わり方や環境問題が指摘されている現状の中で、父親による絵本の読み聞かせが推進されています。
絵本とは、親と子を結ぶ心の広場である。
子どもは、お父さん、お母さんが自分に本を読んでくれること自体が嬉しい。
おまけに、その絵本が面白ければさらに嬉しい。
絵本の読み聞かせとは、親と子の人間関係に計り知れぬ重みと意味がある。
松井直:絵本とは何か,日本エディタースクール出版部一部改変
ここで言う親とは、当然母親、父親の両親のことを指しています。
もちろん、母親・父親の双方が読み聞かせをすることが最適ですが、問題としてなかなかゆっくり時間をとってという事が難しいのが現状です。
家庭での絵本読み聞かせの現状
絵本の読み聞かせの実態調査では、4ヶ月の乳児がいる家庭では約6割、24ヶ月では9割もの家庭で読み聞かせをしているとの回答です。
近年では、子育て家庭において絵本の読み聞かせの関心は高まる一方で、ほとんどの家庭で行われています。
父親の育児時間(平日10分、休日30~40分)を考慮すると、
実際のところ絵本の読み聞かせを行っているのは、母親がほとんどだということが分かります。
父親は読み聞かせ率が低い?
父親の読み聞かせ率が低いのにはいくつかの原因があります。
それが「育児参加率の低さ」と「読み聞かせの苦手意識」です。
育児参加率の低さ
パパが育児に協力してくれない…
こうお嘆きのママも少なくないのかもしれません。
父親の育児参加が少ないのには会社員の長時間労働が原因です。
近年は育児休暇などが叫ばれていますが、日本の育児休暇取得率は低水準で全く浸透していないのが現状です。
ここ何年も育児期の男性の就業時間に変化がなく、長時間会社に拘束されているため、育児に参加できていないことが分かります。
父親が育児に参加できるようになるには、「働き方」を見直す必要があるのかもしれません。
(最近は働き方改革とかやっているみたいですが、正直上っ面ですよね…)
苦手意識がある
父親100人に対して「家事・育児の関わりや読み聞かせについて実施したアンケート」結果で、
父親が関わっている家事・育児の第3位に読み聞かせが挙がっています。
その中で、「読み聞かせが好きだ」と回答した父親は28%、「読み聞かせが得意」が21%、「どちらとも言えない」が半数以上と低い数値に留まっています。
アンケート回答の中には、
- 自分にはできない
- 何が面白いかわからない
- 面倒くさい
こんなネガティブな回答が多数占めていました。
(世の中のパパさんたちのイメージってこんなんですよね…)
でも、子ども達の成長には、父親の読み聞かせは必要です。
父親にしかできない読み聞かせ方法
父親が読み聞かせをするメリットは、母親とは違う絵本の選び方で、母親とは違う切り口での読み聞かせ方にあります。
尾籠(びろう)なテーマ
尾籠なテーマとは、話題が下品だったり口にしづらかったりするようなテーマを扱った作品のことです。
特に下の話などを指します。
ママたちはほんわかしてかわいい絵本を選ぶ傾向にありますが、父親はこの尾籠なテーマや残忍なテーマを豪快に読みきかせることができます。
昔話の底辺には、家父長制や嫁姑の因習に対するアンチテーゼが横たわっていたとしても、父親の読み聞かせではなんなくこなしてしまう。
少し話が変わりますが、以前に、「うんこドリル」が大人気で品薄になったのは記憶に新しいのではないでしょうか。
このうんこドリルシリーズはひらがな、カタカナ、漢字、英語、算数と多くの科目でシリーズ化して驚異のヒット商品となっています。
親にとったらあまり積極的に取り入れにくい題材であったとしても、子どもにとったら面白い、なんていうことは少なくありません。
このうんこドリルシリーズは、うんこを題材とすることで、こどもの興味を引き勉強に繋げている良い例です。
うんちや鼻くそ、おならなどの話は、子ども達にとってはとても関心の高いテーマです。
この現象をうまく活用して「パパの絵本の読み聞かせは面白い!」と子どもに思って貰えるようにすることが有効です。
母親とは違う切り口の読み聞かせ
例え母親と同じ絵本だとしても、違う切り口で読み聞かせてあげれば子どもは父親との読み聞かせの時間が楽しくなるものです。
怖い話を低音を響かせて読むと、母親の優しい声と違った伝わり方をします。
子どもにとって絵本の物語は大冒険です。
ある程度の怖さや悲しさに耐える訓練ができることで、ちょっと怖いことにも挑戦する勇気が湧いてくることに繋がります。
それが、世界を大きく広げることに繋がり、この時期の子どもに必要とされていることを学ぶ機会にできるわけです。
父親が読み聞かせするオススメ絵本
ここでは、父親が読み聞かせをするからこそ効果的である絵本をご紹介します。
どれも独特の視点・ストーリーですので読み聞かせするのに敷居が高いように思われるかもしれませんが、子どもにとっては非常に価値のある作品ですので候補に入れてみてください。
うんぴ・うんにょ・うんち・うんごーうんこのえほん
子どもの「学校のトイレに行けない」問題を解決するための絵本です。
食べることの大切さを教える絵本は数多く出版されていますが、この本は排泄に興味をもたせて「うんこ」を好きになる作品です。
母親ではなかなか扱い難い内容ですが、集団生活では避けて通れない課題をパパと一緒に乗り越えましょう。
おむかえパパ
イクメン先進国のフランスの絵本で、アメリカ・イギリス・メキシコ・中国など6ヵ国で翻訳出版されている人気作品です。
心配性な娘と、パパの愛情深いやりとりがほっこりする作品です。
毎日の送り迎えが一層楽しくなる作品で、パパの読み聞かせにぴったりです。
パパとあなたの影ぼうし
運動会でビリの息子といつも1番で生きてきたパパ。
でもパパは会社で失敗してしまいます。
そんなパパを息子は「逆上がりを教えて」と自分なりに励ます…
NHK「みんなのうた」で日本中が涙した話題の歌をそのまま絵本にされています。
パパ、ママ、子どもたちの3者の思いを代弁した感動の作品です。
優しい心をもつ子どもに育って欲しいと思うパパにオススメの1冊です。
パパ、お月様とって!
あの「はらぺこあおむし」の作者、エリックカールさんの作品です。
「お月さまをとって!」と娘にせがまれたパパは、長いはしごを使ってお月さまを取りに行くという優しさに溢れた内容です。
絵の美しさもさることながら、見る人の心をとりこにしてしまう仕掛けにも注目の作品です。
母親のワンオペ育児で子どもが父親に懐かない!パパと子どもの絆を深める方法。まとめ
- 父親の育児参加率は低い水準
- 育児はママが主体で子どもがパパに懐かない
- パパに懐いてもらうには「絵本の読み聞かせ」が効果的
- 絵本のチョイスと読む時の注意点はママが選びにくい作品かつ読み方の工夫を
今回はパパと子どもの絆を深めるツールである絵本についてご紹介しました。
なかなか子どもと関わる時間が無くてお悩みのパパも少なくないのかもしれません。
この機会に1度絵本を手に取ってみて、子どもたちに読み聞かせてみてください。
もしかしたら、子どもの信頼を得て懐いてくれるようになるのかもしれません。
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子どもたちが指先を動かしながら楽しめる参加型絵本は、“つまむ、ひっぱる”という行動が刺激を与え、脳の活性化につながり、子どもたちの知的発達も期待できます。
参考文献・図書・サイト
川井蔦栄他:絵本の読み聞かせと親子のコミュニケーション,花園大学社会福祉学部研究紀要第16号(2008)