今回は株主優待で人気の【早稲田アカデミー(4718)】についてご紹介します。
この会社は株主還元意欲が旺盛で、他の同業他社と比較しても総合利回りが高くなっています。
王冠すずめも家族名義と併せて保有しています!
ただ、利回りが高いからといって安易に飛びつくと痛い目に会うことも。
利回り10%を買ったら株価下がった!
株主優待が廃止されちゃった!
倒産して紙きれになった!
こうした失敗をしないためには、銘柄を選ぶ際に利回りの高さだけに目を奪われてはいけません。
基本的に長期間に渡って高配当を維持している企業というのは「今後の成長が見込めない会社だが安定的な経営が出来ている」いわゆるおじいちゃん企業です。成長性が無いため、会社として新たな投資はしない代わりに利益を株主に還元する方針の企業が高配当となる所以です。
中には経営がガタガタで株価が暴落した結果、高配当となっている場合もありますし、年間の利益以上に配当として還元している企業でいつ減配されてもおかしくない場合など、いわゆる「罠銘柄」なんていうのも高配当の世界には多数存在します。
そんな罠銘柄に引っかからないためにも企業分析は必須です。
特にコロナ・ショックの影響により、業績の悪化を予想して株価の下落に見舞われている大企業も少なくありません。その一方で増収・増益で上方修正している企業もあります。高配当だからといって安易に飛びつかず、必ず業績の健全性を調べてから、買う、買わないを決めるようにしたいですね。
時間の無いひとに、記事の要約だよ!
早稲田アカデミー(4718)の事業概要
早稲田アカデミーは、首都圏において小学生・中学生・高校生対象の進学塾を経営している会社です。国内連結子会社には株式会社野田学園、株式会社水戸アカデミー、株式会社集学舎の3社があり、海外連結子会社には、WASEDA ACADEMY UK CO.,LTDとWASEDA ACADEMY USA CO.,LTD.の2社があります。
難関校への圧倒的な合格実績により形成したブランド力を背景に、生徒数を伸ばし、業績拡大を続けています。難関中学・高校・大学受験の進学塾として、すべての指標でNo.1を実現するとともに、世界的な教育企業への成長を目指してまいります。
早稲田アカデミー「早稲アカ早わかり」より引用
早稲田アカデミーのセグメント情報は、「教育関連事業」の単一セグメントです。
学習塾(上場企業)ランキング
まずは早稲田アカデミーが同業他社と比較した場合に、どの立場に居るのかを確認します。
現在(2021.10)上場している学習塾関連企業は18社「かぶれんー学習塾(上場企業)ランキングより引用」です。
優待は100株での内容のみピックアップしています。
企業名 (コード) | ブランド名 | 売上高 | 営業利益 | 利益率 (ROE) | 利益率 (ROA) | 自己資本比率 | PER | PBR | ミックス係数(※) | 配当 | 優待 (100株) | 総合利回り |
ナガセ (9733) | 東進ハイスクール 東進衛星予備校 | 458億 | 45億 | 12.2% | 3.4% | 28.3% | 13.6 | 2.59 | 35.22 | 130 | – | 2.34% |
早稲田アカデミー (4718) | 早稲田アカデミー | 254億 | 10億 | 4.2% | 2.8% | 59.9% | 18.4 | 1.74 | 32.01 | 15 | 下記参照 | 8.8% 14.2% |
リソー教育 (4714) | 個別進学指導TOMAS 医学部受験指導専門校「メディックTOMAS」 | 252億 | 10億 | 8.8% | 4.0% | 39.6% | 29.2 | 11.77 | 341.64 | 9.5 | – | 3.05% |
京進 (4735) | 京進笙中部 京進スクール・ワン | 231億 | 0.7億 | 5.1% | 0.9% | 17.3% | 21.6 | 1.15 | 24.84 | 7.3 | – | 1.36% |
東京個別指導学院(4745) | 東京個別指導学院 関西個別指導学院 | 191億 | 6億 | 2.8% | 2.2% | 73.1% | 20.0 | 4.40 | 88.00 | 26 | カタログ優待品 1,500円相当 | 6.9% |
明光ネットワークジャパン(4668) | 明光義塾 早稲田アカデミー個別進学館 | 182億 | 2億 | ▲18.7% | ▲15.9% | 65.6% | 19.8 | 1.52 | 30.09 | 20 | QUOカード 3年未満:500円分 3年以上:1500円分 | 4.3% 6.08% |
ウィザス (9696) | 第一ゼミナール ファロス個別指導学院 | 162億 | 11億 | 11.8% | 3.9% | 29.8% | 8.8 | 1.41 | 12.40 | 16 | – | 2.78% |
市進ホールディングス (4645) | 市進学院 小太郎塾 | 160億 | 5億 | ▲20.9% | ▲3.2% | 11.2% | 10.4 | 2.58 | 26.83 | 8 | 300株以上 | 2.2% |
進学会ホールディングス (9760) | 北大学増進会 東大進学会 | 118億 | ▲39億 | ▲16.2% | ▲8.4% | 30.3% | – | 0.44 | – | 15 | QUOカード1,000円+株主優待券3,000円分 | 13.0% |
スプリックス (7030) | 森塾 湘南ゼミナール | 118億 | 17億 | 14.6% | 10% | 42.8 | 16.1 | 1.97 | 31.71 | 31 | – | 3.3% |
成学社 (2179) | 開成教育セミナー 個別指導学院フリーステップ | 116億 | 0.2億 | ▲4.1% | ▲1.2% | 27.9% | 25.9 | 4.77 | 123.54 | 6 | QUOカード1,000円分×2 | 3.6% |
学究社 (9769) | ena | 112億 | 18億 | 27.3% | 11.4% | 43.7% | 12.6 | 4.10 | 51.66 | 65 | QUOカード 1,000円分 | 5.4% |
ステップ (9795) | 高校受験STEP 大学受験STEP | 109億 | 19億 | 6.5% | 5.2% | 85.6% | 12.1 | 1.33 | 16.09 | 45 | QUOカード 6ヶ月未満500円分~2年以上2,000円分 | 2.8% ~3.6% |
秀英予備校 (4678) | 秀英予備校 | 108億 | 3億 | 3.3% | 1.3% | 38.4% | 2.4 | 1.21 | 2.90 | 8 | 図書カード 500円分 | 3.1% |
城南進学研究社 (4720) | 城南予備校 城南コベッツ | 57億 | ▲6億 | ▲31.2% | ▲18.0% | 46.6% | 17.5 | 1.28 | 22.4 | 5 | QUOカード 500円分 | 2.4% |
昴 (9778) | 昴 受験ラサール すばる個別指導 東進衛星予備校(FC) | 36億 | 1億 | ▲1.9% | ▲0.9% | 47.4% | 6.1 | 0.55 | 3.35 | 120 | QUOカード 3,000円分 &りんご3Kg | 3.3% (りんご除く) |
クリップコーポレーション (4705) | PICL学習教室 遊comm. 東京進学塾CLIP 螢雪パーソナル東京 稲門パーソナル | 31億 | 2億 | 1.7% | 1.5% | 84.1% | 11.3 | 0.72 | 8.13 | 40 | – | 4.8% |
すららネット (3998) | – | 16億 | 5億 | 34.9% | 21.3% | 79.3% | 60.3 | 12.73 | 787.27 | 0 | 自社受講割引価格 | 0% |
※表内の数字は四季報(2021秋号)から持ってきています。
※「ブランド名」は塾講師ナビより引用、一部追記
- (※)ミックス係数とは
- 当期純利益と純資産から現時点の株価の割安性を評価する指標です。
PER(株価収益率)×PBR(株価純資産倍率)
ベンジャミン・グレアム氏は、ミックス係数が22.5よりも小さな銘柄が割安株だと述べています。ただし、この22.5という数値は米国株に当てはめた時の数値ということで、日本株の場合にはこの更に半分の11.25が妥当という見方もあります。 - Kabutanより引用
早稲田アカデミーの売り上げ高は上場企業の中では2位(四季報2021.秋号)です。
非上場の会社を含めた「学習塾売上ランキング(塾講師ナビより引用)」では2017年度の売り上げは6位/50社と上位に位置している企業です。
早稲田アカデミーの配当&優待内容
株主優待制度
早稲田アカデミー(4718)の株主優待はかなり充実しています。
短期保有だけでもかなりの好条件ですが、さらに長期保有特典で優待が倍増するという太っ腹な企業です。
現在の株主優待は2019年7月末より現在の制度に拡充しました。(ZAiオンラインより)
まだ開始して月日が経過していないので、早々に打ち切るという心配も少ないのではないでしょうか。
1株配当実績
直近5年間の配当実績です。
今期の配当は2円増額の22円を予定しています。
2021年3月期 | 20円 |
2020年3月期 | 20円 |
2019年3月期 | 17.5円(35円) |
2018年3月期 | 16.5円(33円) |
2017年3月期 | 17.5円(30円) |
直近の株格1000円で計算すると、配当利回りは2%水準とまぁまぁな数字です。直近5年ではほぼ同水準の利回りとなっており、株価も適正水準レベルです。
総合利回りは驚異の14.2%!
2021.10現在、株価はだいたい1000円前後を推移しています。
仮に1株1000円として計算すると、総合利回りはとてつもない数字になります。
100株保有の場合の利回りを計算してみます。
1株 | 単元 | 配当金 | 3年未満 | 3年以上 |
1,000円 | 100,000円 | 2,200円 | クオカード1,000円 優待券 5,000円 | クオカード2,000円 優待券 10,000円 |
結果…
3年未満で8.8%!
3年以上で14.2%
なんという驚異の高利回り ( ・ω・)!
ただし、注意点として、株主優待券は自社サービスでのみと使用が制限されています。
うちは早稲アカに通ってないし使えないんじゃ意味ないよ!
そんな方でも大丈夫!フリマを活用すればOK!
早稲アカ優待は8~9割の価格で販売できる!
メルカリの販売履歴を確認してみます。
基本的には優待券直後に出回る傾向が強いですね。
だいたい5000円の優待券が4600~4800円程度で売買されています。
塾代も高額ですから、同じ方が複数落札する傾向が強く、需要が高いので現金化も容易です。
優待券の額面以上の金額設定をしない限りは売れ残るリスクも少ないでしょう。
優待券は換金性が高く、かつ高利回りなのでぜひ手に入れたいところです。
企業情報を調べてみた!
株主優待や配当が高くて魅力的に映りますが、企業が安定して株主還元するには安定した収益が必須です。
ここでは早稲田アカデミーがこれからも株主還元し続けてくれるのか考察するために情報を精査していきます。
業績推移
売上高の単位は億円。端数は省略しています。
売上高は毎年右肩上がりで安定した推移となっています。
2021年は3月に公募増資で28億円調達「日経ONLINEより」したことにより営業利益率が低下しています。
財務健全性を見る自己資本比率
一般的に自己資本比率40%を下回ると、倒産リスク懸念がされます。
早稲田アカデミーの2022年3月期第1四半期決算短信を見る限りでは自己資本比率59.9%と前期より改善しています。
この水準であれば倒産リスクは低く、安心して保有することができそうです。
減配リスクを見る配当性向
早稲田アカデミーの今期配当性向は56.1%、配当金は22円です。
EPSは2019年をピークに下落基調です。それに伴い配当性向も若干増加傾向にありますが、2022年度の予想配当性向は56.1%と、ここ10年を振り返ってみても決して高すぎる水準とは言えません。ただ、ばらつきが多いため安定していないかのように思えます。
●純資産配当性向(DOE)
2013.3 | 2014.3 | 2015.3 | 2016.3 | 2017.3 | 2018.3 | 2019.3 | 2020.3 | 2021.3 |
4.4% | 4.1% | 4.1% | 3.9% | 3.7% | 3.8% | 3.8% | 4.0% | 3.6% |
純資産配当性向(DOE)を見ると、概ね4%前後を推移していることが分かります。
これを見る限りでは安定して還元してくれる企業であることが分かります。
- DOEとは
- 英語表記「Dividend on equity ratio」の略で「株主資本配当率」のこと。企業が株主資本に対してどの程度の配当を支払っているかを示す指標です。配当水準を示す指標としては、当期純利益に対する配当額を表す配当性向が一般的ですが、当期純利益は変動幅が大きいため、株主還元の状況を示す指標として近年では株主資本を基準にしたDOEを採用する企業が増えています。
株主資本配当率(DOE)=年間配当総額÷株主資本×100 (%)
または、
株主資本配当率(DOE)=配当性向×自己資本利益率(ROE)×100 (%) - 「三井住友DSアセットマネジメント(わかりやすい用語解説:DOE)」より引用
新規で開校予定!
2021.7に湾岸エリア(品川・豊洲)に新校3校を同時開校予定しています。
安定した財務基盤を持った同社ですが、新規開校によってさらなる成長性が期待できそうです。
今後も握力強めで保有を継続していきたいですね。
早稲田アカデミーのまとめ
3月と9月の優待で、利回りのみでなく株主優待も力を入れている企業です。
特に9月の同社優待券は100株で5000円相当、長期優待で2倍になる超高利回り銘柄です。
財務も問題なく、中長期にわたって保有しておきたい銘柄だと思います。
4718 早稲田アカデミー要約
- 総合利回り8.8%、長期保有で14.2%の超絶高配当銘柄
- 業績は緩やかに右肩上がり
- 直近は公募増資で一時株価下落も、その後回復。
- 財務は健全といえる水準
- 配当性向は高水準だがDOEは安定している。よって還元姿勢は強く優待維持期待できるか
さいごに!
このページは管理人が行っている端株優待の記録用です。記事の内容も執筆時のものであり、内容の正確性は保証致しかねますので、予めご了承ください。また銘柄を推奨するものではありませんので、併せてご理解の程お願い致します。