優待投資は長期に渡って個人投資家に人気の分野に人気です。
現在、株主優待を実施している上場企業は約1,500社あり、優待内容も様々です。
ただ、最近は企業側で優待自体を見直す動きが活発になってきています。
その背景にはコロナ禍による業績不振からのコストカットだったり、海外投資家の資金を呼び込むために配当に注力するために廃止する、といったことが挙げられます。
2021年の株主優待を廃止した企業は過去10年で最多の75社(日本経済新聞より)にのぼる一方で、優待新設企業は42社に留まり、企業数だけでも減少傾向にあります。
また廃止とまでは行かないまでも、長期保有の条件をつけたり、複数単位の取得を促すケースも頻発しています。
つまり、企業が求めているのは大口で保有する安定株主です。
しかし、私たち個人投資家が1つの企業の株を大量に保有するのにはリスクが大きくなります。
優待投資の基本として私が勧めている方法は1企業につき100株まで。これは1番利回りが高くなる場合が多い上に分散投資としてリスクを抑えることができるからです。
優待改悪をちらつかせて追加投資を求める企業の要望に沿うことはできません…
では、どうしたら良いのでしょうか。
それは企業の「優待廃止・改悪リスク」を知り、事前に回避する投資行動をとることです。
優待の種類
企業が行っている株主優待にはいくつか種類があります。
ここではその内容をざっくりとご紹介します。
◍ 金券
金券にはクオカード、ギフトカード、図書カード、おこめ券、たまご券などがあります。
クオカードやギフトカードは幅広くお金の代わりに利用することができます。金券ショップに持っていけば現金と引き替えることもできます。
自分の好きな物と引き替えることができますので、株主側からすれば使うにあたって自由度が高いのが特徴です。
おこめ券は米としか引き替えられないとよく誤解されますがキロ換算で金券として利用できるところが多いです。
第三者が介入するため、額面そのままではなく発行量や送料など企業側の負担が大きくなる傾向があります。
◍ 物品
金券に比べると換金性は劣ります。カタログギフトやプレミアム優待倶楽部では掲載商品の中から自分の欲しいものを探して引き替えます。
上場企業が自ら作っているオリジナルのカタログギフトもありますが、一般的なカタログギフトやプレミアム優待倶楽部は第三者が間に介入するため、割高になりやすいか企業側の金銭的負担or株主が貰える商品がショボくなる傾向があります。
物品にはカタログギフトや自社商品、プレミアム優待倶楽部が挙げられます。
◍ 割引・優待券
自社商品券、割引券、無料施設利用券などがこのカテゴリーに入ります。
これらのチケットは上場企業が販売している商品やサービスを割引価格もしくは無料で使えたりするものです。
投資家側の選択肢は非常に限定され使い勝手が悪いのが特徴てす。
一方で企業側とすれば優待券を使って貰うことで売上に繋がるため資金が循環しやすい。施設などの無料利用券などであれば企業側の負担は非常に軽いのが特徴です。
廃止リスクの高い優待
ここでは優待の種類・内容によって廃止されやすいものについてご紹介します。
◍ 高リスク:金券類・カタログギフト
一般的に廃止されやすい優待の特徴として「企業側の負担が大きいもの」「優待利用が企業活動の外で完結するもの」が挙げられます。
金券類やカタログギフト(一般用)はその最たる例です。これらの優待は額面以上に金銭的負担が大きい上に優待を使って貰ったとしても企業側にメリットはありません。
(オリジナルデザインのクオカードや自社オリジナルカタログギフトは宣伝効果などを考えると若干リスクは下がります。)
◍ 自社商品も低リスクではない
現在世界中でインフレが加速しています。
日本の場合はまだ商品の値上げは目立っていませんが、企業物価指数は上昇傾向です。現在は企業努力によって物価上昇を吸収している状況ですが、着実に負担は増加していると考えるのが妥当だと思います。
そのため、自社商品だからといって優待廃止リスクが低いと考えることはできません。
同社は2022.1.31に100株以上の株主に株数に応じて自社製品(砂糖など)を贈呈してくれていましたが、今回優待の廃止を発表、同時に1円の通常配当の増配と記念配当2円を発表しています。
理由としては
「株主の皆様への公平な利益還元の在り方という観点から慎重に検討を重ねました結果、株主の皆様への還元は配当金による利益還元を優先することとし、株主優待制度は廃止させていただくことといたしました」
とのことですが、100株保有で優待1,000円相当を頂けていたことを考えると単純に改悪です。
廃止リスクの高い企業
ここでは、どんな企業が優待廃止リスクが高いのかについてご紹介します。
◍ 継続して安定した収益の無い企業
継続して優待を出すには企業側に継続した収益がなければ継続して株主に還元することはできません。
お金が無い企業は株主に還元する元手がありませんので当然です。
当然利益が縮小傾向、自己資本比率が低下してきている企業も注意が必要です。
◍ 株価が安い企業
株価が10万円前後、特に注意したいのが5万円程度で買える安い優待銘柄は注意が必要です。
安い金額であれば気軽に優待投資ができます。裏を返せば他の個人投資家も群がりやすい銘柄と言えます。
100株保有で権利を有する人数が増える程に企業側の負担が大きくなるためです。
◍ 発行済み株式数に対して個人株主比率が多すぎる企業
1つ上の項目と重複しますが、こちらは既に優待目当てで多数群がってしまっている状態の企業です。
企業としては、すでにいっぱいいっぱいの状態でいつ優待を廃止しようか機会を伺っている状態かもしれません。
◍ 長期保有などの条件のない優待の企業
長期の縛りがない優待はクロス投資家が殺到します。
通常の株主への優待負担に加え、クロス投資家への優待も出す必要が出てきますので、企業側が負うコストも余分に掛ってきます。
最近ではクロス取引対策で長期保有縛りを追加する企業も増えていますので、何も無い企業よりはリスクも低減しているのではないでしょうか。
優待廃止後にとる戦略
もし、保有している銘柄が優待の廃止を発表した場合の対応についてご紹介します。
◍その銘柄を保有した理由を再確認
保有していた銘柄が優待廃止になったら失望するのは当然です。しかし、ネガティブになる気持ちは横に置いておいて速やかかつ冷静に今後の対策を練る必要があります。
基本的に優待目当てで購入した銘柄は売却のスタンスです。
高配当投資や短期売買の場合も同様に、当初の目論見がハズレれば処分するようにしています。
むかし優待廃止で塩漬けになった失敗から機械的に売却するようにしています。
◍「株価が戻ったら売ろう」は間違い
基本的に優待廃止で株価が下がった銘柄はよほどの業績アップや配当の増配をしない限り値下がりしたままです。
そもそもそんな成長力のある企業かつ魅力的な優待(総合利回り含む)を出していることは稀ですし、私が買うまで割安放置されていることはありません(断言)なので、優待も株価も落とした企業は年単位で戻っては来てくれないことは往々にしてあります。
そのため、キズが浅いうちに処分するのがベストの方法だと思います。
◍ 銘柄によっては処分しない場合も
基本的には優待廃止に伴い保有している株は処分しますが、もちろん例外はあります。
それは高配当&優待の両側から選んだ銘柄です。これらの銘柄は「もともと優待はおまけ程度」との認識で買っていた場合は減配されない限りは保有継続します。
処分しない銘柄の配当だけの基準は3%にしています。優待廃止時に投資した金額に対してこの利回りがあれば保有継続にしています。
最後に
今回は優待投資において、廃止リスクの高い優待内容・企業と優待廃止を発表された後の対処法についてご紹介しました。
以前に優待の内容だけで飛びついた銘柄で手痛い思いをした経験があります。
特に近年は優待を廃止して増配や自社株買いで株主還元をする企業が増えています。そのため優待投資に対して逆風になっていると感じています。
しかし、優待投資で日々の生活に楽しみになるという魅力も捨てがたいと感じていますので、日々勉強しながら続けて行きたいと思っています。
今回、ひろぎんHDの優待改悪に伴い、手持ちの優待銘柄について再考した記事です↓