今回は株主優待で人気の【エディオン(2730)】についてご紹介します。
現在、家電量販店銘柄の株価が軒並み下落していてどの銘柄も手が届きやすくなってきています。
ことエディオンに関しては10万円+αで買えるお手軽価格のわりに、総合利回りが高く、これから優待投資を始めたい方にオススメの銘柄となっています。
株価も一定の下値ラインで踏みとどまっている状況ですので、下限は限定的との判断で今回銘柄紹介でピックアップしてみました。
優待大好きの管理人も100株だけ保有していますが、追加での購入を検討しています。
ただ、利回りや優待が良いからといって安易に飛びつくと痛い目に会うことも…
株価暴落で大損!
業績不振で優待廃止された!
こうした失敗をしないためには、銘柄を選ぶ際に利回りの高さだけに目を奪われてはいけません。
基本的に長期間に渡って高配当を維持している企業というのは「今後の成長が見込めない会社だが安定的な経営が出来ている」いわゆるおじいちゃん企業です。成長性が無いため、会社として新たな投資はしない代わりに利益を株主に還元する方針の企業が高配当となる所以です。
中には経営がガタガタで株価が暴落した結果、高配当となっている場合もありますし、年間の利益以上に配当として還元している企業でいつ減配されてもおかしくない場合など、いわゆる「罠銘柄」なんていうのも高配当の世界には多数存在します。
そんな罠銘柄に引っかからないためにも企業分析は必須です。
特にコロナ・ショックの影響により、業績の悪化を予想して株価の下落に見舞われている大企業も少なくありません。その一方で増収・増益で上方修正している企業もあります。高配当だからといって安易に飛びつかず、必ず業績の健全性を調べてから、買う、買わないを決めるようにしたいですね。
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エディオン(2730)の事業概要
日本の家電量販チェーンで売上高は業界第4位(MONEY TIMES「家電量販店ランキングTOP10!」)より引用。関東地方から九州・沖縄地方に展開する「エディオン」と、北海道・北陸地方を中心に展開する「100満ボルト」のストアブランドで家電専門店を展開。
リフォーム・住宅関連事業に注力しており、リフォーム事業は家電に次ぐ第2の柱として取んでいる。また不動産仲介売買事業「エディオンハウジング」も展開。
その他にも通信(ISP)事業「エディオンネット」やモバイル事業(携帯電話会社からの事業委託)、ロボットプログラミング事業、エネルギー管理システム事業などを展開(※)している。
2021年2月8日に、デジタルマーケティング分野の実績がある株式会社Hampstead、企画・印刷事業を行う株式会社プライムステーション、プログラミング教室運営を行う株式会社EdBank、英会話サッカースクール運営を行うBRIDGEsを参加に置く株式会社PTNを子会社化いたしました。
PTNグループのノウハウを取り込むことで、更なる事業効率向上、より良いサービスを提供出来るよう努めて参ります。
第20期報告書(2020年4月1日~2021年3月31日)
【セグメント】家庭電化商品等の販売及びその他の事業「四半期報告書(第21期第2四半期)より」
家電販売・リフォーム事業のみかと思ったら、色々な事業に手を広げているようです。プログラミング事業なんかはこれから需要が伸びそうな分野でもありますので、これからの成長が面白そうですね。
家電量販店ランキングTOP10
同業他社比較は銘柄分析する上では必須です。
まずはエディオンが家電量販店の業界でどの程度の位置に存在しているか確認です。
会社名 (証券コード) | 市場シェア | 経常利益率 (平均5.02) | 時価総額 (2021.6.16終値基準) | 店舗数 (主要子会社店舗数) | PER PBR | ミックス係数 |
ヤマダHD(9831) | 30.5% | 5.64% | 5,006億 7,800万円 | 678店舗 | 5.85 0.55 | 3.21 |
ビックカメラ(3048) | 14.8% | 1.73% | 2,163億 6,800万円 | 187店舗 (コジマ含) | 20.11 1.23 | 24.73 |
ケーズHD(8282) | 13.8% | 6.53% | 907億円 | 520店舗 | 7.63 0.85 | 6.48 |
エディオン(2730) | 13.4% | 3.62% | 1,182億 7,800万円 | 437店舗 | 8.78 0.54 | 4.74 |
ヨドバシカメラ | 12.3% | 8.53% | – | 23店舗 | – | – |
上新電機(8173) | 7.8% | 3.69% | 783億 4,400万円 | 220店舗 | 7.37 0.61 | 4.49 |
ノジマ(7419) | 4.6% (ノジマ単体) | 10.86% | 1,538億 6,900万円 | 189店舗 | 4.29 1.00 | 4.29 |
ラオックス(8202) | 1.4% | -4.15% | 172億 6,700万円 | 16店舗 | – 0.73 | – |
アプライド(3020) | 0.7% | 6.04% | 29億 200万円 | 26店舗 | 4.87 0.97 | 4.72 |
ピーシーデポコーポレーション(7618) | 0.7% | 7.66% | 241億 100万円 | 114店舗 | 39.76 0.76 | 30.21 |
※PER、PBRはYahoo!ファイナンス(2021.11.16)から持ってきています。
家電量販銘柄は全般的に割安放置されている印象が高いです。そのため、インカムメインでの投資となりやすいです。
- ミックス係数とは
- 当期純利益と純資産から現時点の株価の割安性を評価する指標です。
PER(株価収益率)×PBR(株価純資産倍率)
ベンジャミン・グレアム氏は、ミックス係数が22.5よりも小さな銘柄が割安株だと述べています。ただし、この22.5という数値は米国株に当てはめた時の数値ということで、日本株の場合にはこの更に半分の11.25が妥当という見方もあります。
Kabutanより引用
エディオンの配当&優待内容
株主優待制度
エディオンの株主優待制度は「自社商品券(ギフトカード)」です。年1回3月末権利確定。
有効期限は1年間です。
利用可能店舗
- エディオン
- 100万ボルトの店舗(フランチャイズ店を含む)
- エディオンネットショップ
配当金
2022年の予想配当金は44円です。(IR BANKより)
直近5年の配当実績
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
中間 | 10 | 11 | 13 | 14 | 18 | 20 |
期末 | 12 | 15 | 15 | 18 | 16 | 26(内記念配当5円) |
配当額 | 22 | 26 | 28 | 32 | 34 | 46 |
エディオンの株主還元方針は配当性向30%の水準が目安となっています。
今期の業績予想で配当性向30%で計算すると、IR BANKの44円は30%水準でいくと過剰のような気もします。
総合利回り
現在の利回りを計算してみます。
株価:1041円(2021.11.15終値)
配当:44円(IR BANK予想)
優待:100株3,000円、長期4,000円
100株保有時の総合利回りは7.1%
長期保有では8.06%!!
なんという高利回り銘柄!!
配当だけでも4%台と、優待がなくても投資基準に合格するレベルです。
しかし、ここで焦って飛びついてはダメです。罠銘柄の可能性もありますので冷静に企業分析をしていきましょう。
企業情報を調べてみた!
株主優待や配当が高くて魅力的に映りますが、企業が安定して株主還元するには安定した収益が必須です。
ここではエディオンがこれからも株主還元し続けられるのか考察するために情報を精査していきます。
売上高は2017年を底に徐々に右肩上がりを作っていて、営業利益率も改善傾向にあります。
特に注目すべき点は2021年です。営業利益・経常利益共に最高益を叩き出しました。これは政府の特別定額給付金が「巣ごもり需要」「テレワーク需要」「コロナ対策商品需要」を受けて資金が流入した結果、売上高に貢献した影響があります。
逆に言うと、翌年度は前年比ベースで売り上げ上昇率はかなりハードルが高いと言えます。また家電量販店全般に言えることですが、白物家電などは毎年買い換えるものではありませんので、ささらに高いハードルとなりそうです。
すなわち、「2022年度の売り上げ成長は難しい=株価上昇も厳しいのでは?」というのが私見です。
自己資本比率
エディオンの自己資本比率を表す推移です。2010年~2021年の期間をまとめてあります。
- 自己資本比率
- 自己資本比率は会社経営の安定性(倒産リスク)を示す数値です。
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%を占めるかを示す数値で、自己資本比率が高いほど経営は安定し倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は一般的に40%を下回ると高いリスク群と判断されます。
業種別では「小売業」の目安が36.7%(doda「自己資本比率とは?業種別で何%くらいが目安なの?」参照)に比べて高い水準で推移していることが分かります。
ここ10年は着実に自己資本比率が上がってきており、一定の安心感もある水準に到達しています。
配当性向
配当方針
当社は配当政策を重要な経営課題の一つと認識しており、株主の皆様への安定的配当の実施を念頭に置きながら業績及び経営基盤強化のための内部留保等を勘案し、配当金額を決定することを基本方針としております。
配当性向は今後の減配リスクを予測する上で重要な指標です。
エディオンの今期の配当は44円(中間22円、期末22円)で2022年の予想配当性向は33.2%「IR BANKより」
※)2013年は一株利益がマイナスなので配当性向は非表示です。
EPSは年度により振れ幅が大きいものの、配当金は2021年まで6期連続で増配していました。
先にも書きましたが、2022年3月は44円と2円減配です。
…といっても現在の株価水準でいけば余裕で4%超えです。
この水準は高配当投資の投資基準でも合格レベルです。
後は企業として株主への還元姿勢ですが、ポイントは2013年です。
この年は赤字決算だったのにも関わらずエディオンは配当を維持しています。
赤字決算でも配当維持の俠気を感じますね!
これには株主還元への並々ならぬ意思を感じざるを得ません。
もし、これからも業績悪化に陥っても簡単には株主を蔑ろにする可能性は低い企業だと考えています。
●純資産配当性向
2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
1.5% | 1.6% | 1.5% | 1.6% | 1.7% | 1.8% | 2.0% | 2.1% | 2.6% |
エディオンの純資産配当性向(DOE)の推移は2%前後を推移しています。
売り上げ高や利益ベースの配当性向では上下が激しく安定していない印象でしたが、DOEを見ることで大きく変動しているわけではないことが分かります。この水準で安定して推移しているのであれば、無理に配当を出しているということはなく、今後も安定して株主還元をしてくれそうなことが分かります。
- DOEとは
- 英語表記「Dividend on equity ratio」の略で「株主資本配当率」のこと。企業が株主資本に対してどの程度の配当を支払っているかを示す指標です。配当水準を示す指標としては、当期純利益に対する配当額を表す配当性向が一般的ですが、当期純利益は変動幅が大きいため、株主還元の状況を示す指標として近年では株主資本を基準にしたDOEを採用する企業が増えています。
株主資本配当率(DOE)=年間配当総額÷株主資本×100 (%)
または、
株主資本配当率(DOE)=配当性向×自己資本利益率(ROE)×100 (%)
「三井住友DSアセットマネジメント(わかりやすい用語解説:DOE)」より引用
中長期戦略
エディオンは「4つの柱」として家電・リフォーム・物流・教育の事業領域で中長期的な事業展開を図るとしています。
エディオンが有する各柱の進捗状況(各項目が100の場合)
- 家電:80%
- リフォーム:70%
- 物流:60%
- 教育:30%
家電
エディオン主力の事業である家電販売では、映像家電・テレビの需要刈り取りと粗利益の高いエアコン販売の強化を基本戦略としています。
中期的に5GやIoT家電など、これから伸びるであろう商品への取り組みも旺盛です。
店舗出店に関しては、都市型基幹店舗の出店やEC事業や法人営業も強化していくとしています。
リフォーム
リフォーム事業の売上高を100,000百万円規模を目指し、人員強化や外壁塗装の新規商品ろ良質な業者の選定、工事体勢の強化などの体勢面を整えた上で収益を拡大させるとしている。
今後は単価500万円以上の大型リフォーム領域にも注力する予定。
教育
・日本最大のロボットプログラミングスクール構築
2025年までにロボットアカデミー事業のスクール会員数をオンライン会員含めて10万人を目指す。
物流
・ピーク時配送体制の強化
・他社との共同配送の連携、他社からの業務委託
・ジェイトップ配送網の活用
エディオンのまとめ
家電量販店銘柄の中でも高配当に分類されるエディオンですが、そこまで悪い印象は持ちませんでした。
業界的に大きく伸びる可能性は低いながらも、安定した収益を確保してくれると期待できそうです。
管理人的には家族名義で100株ずつくらいの保有であれば問題なく保有できるのではないかと判断しました。
このページは管理人が行っている株主優待投資の記録用です。記事の内容も執筆時のものであり、内容の正確性は保証致しかねますので、あらかじめご了承下さい。また特定の銘柄を推奨するものではありませんので、併せてご理解の程お願い致します。
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今回はヤマダHDについて書かせて頂きましたが、他にも家電量販店銘柄について記事を作成しています。
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