目の悪い子どもが爆増している!
子どもの視力低下(近視)が近年急増しています。統計調査によると小学生で10%、高校生では40%が近視であると報告されています。
そこで、今回は子どもの近視の原因と予防法についてご紹介します。
視力0.3未満の小学生の割合が10%近くに増えている。高校生では約40%以上が近視である。
学校保健統計調査 / 令和元年度 全国表
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/1268826.htm
今後人口の約1/3が近視になると予測される。特に日本を始めとした東アジアの国々ではパンデミック並に増加するだろう。
科学雑誌「ネイチャー」
https://www.nature.com/news/the-myopia-boom-1.17120
「小さい子ども(乳児~小学生)をもつパパ・ママさんはお子さんの視力を把握していますか?」
「子どもに視力検査を受けさせたことはありますか?」
これは、子どもが小さいうちから特に気をつけなければならないんです。
子どもは自分が「近視」だなんて分かりません。仮に自分の目が悪くても気がつかないことが普通です。
「近視」というのは、目が悪いという知識を持っている大人だけです。だからこそ、子どもの目の状態を把握してあげることが大切なんです。
ところで、これは「目」だけに限らないことですが、病気の治療は「早期発見・早期治療」が大原則です。対処が早ければ早いほど、治療効果は高くなります。
そして、「目」においてもこの大原則は当てはまります。小学以降に治療開始して遅くなってしまった…結果的に視力の回復が見込めなかったり、より近視が進行してしまう…なんてことに繋がりかねません。
視力検査は小学校入学前に済ませておくのが吉!
目の役割とは、「外からの光を、電気信号に変換して脳へ情報を伝える」器官です。その大切な役割を持っているのが「視細胞」。
目が見えるためには欠かせない組織なんですが、産まれるたての赤ちゃんはこの視細胞が未熟の状態で、出産直後は視力がほとんどありません。視界が「ぼやーっとしている」状態なんです。
この視細胞ですが、出産直後から急速に発達し始め、小学生頃には大人と同じくらいの視力に成長します。この頃にやっと目という器官が出来上がります。
そのため、もし近視や遠視などを始めとした目の病気があった場合で、8歳以降に治療を開始した場合には後々の治療成績に大きく影響します。つまり、完治の見込みは少なくなってしまう、ということです。
小児眼科のお医者さんは、「遅くても2~3歳までには、初めての眼科検診を受けさせること」を推奨されています。
近視は大人になっても止まらない!?
これまでは、近視は子どものうちになるもので、成長と共に悪くなったとしても、大人になるとそれ以上は悪くならない。
実際には、多くの子どもは成長して大人になると近視は止まっていました。しかし、最近では大人になっても悪くなり続けている人が増えています。
実は、資格障がい者になる原因疾患のうち「強度近視」が第5位にランクインしている事実があります。
私たちの身近にある「近視が強い人ほど将来視覚障がい者になってしまう傾向にある」という事実は見過ごすことは出来ません。
かわいい子ども達が将来、目が見えなくなったなんてことになるのは避けなければなりません!
子どもの近視は2種類-屈折性近視と軸性近視-
子どもの近視は「屈折性近視」と「軸性近視」の2種類があります。どちらも近視の症状が現れますが、その重大性は全く違います。
「屈折性近視」とは、いわゆる水晶体が固くなってピントが近くに固定されてしまい、遠くのものが見えにくくなるってしまった状態のことで、近くの物を見続けることで生じます。
ただし、屈折性近視による症状は一時的で、目薬などの適切な治療をすることで水晶体の周りにある筋肉(毛様体筋)の痙攣を止めさえすれば治ります。
昔よく聞かれた「学校近視」や「仮性近視」というのは、この屈折性近視のことです。
一方で問題なのが、「軸性近視」です。現在子どもの近視のほとんどがこのタイプに分類されます。
この軸性近視は、目の直径(眼軸長)が長くなってしまう状態のことで、水晶体と網膜の距離が離れてしまうことでピントが合わなくなってしまいます。
恐ろしいことに、この「軸性近視」は現在の医療では伸びた眼軸長を戻すことは出来ません。
しかも、眼軸長が長くなることで、目の様々な所に負担が掛かり、網膜剥離などの致命的な障害に繋がるリスクが高くなります。
実は、この軸性近視は子どもの成長期にしっかり対策をすれば防げます。
子どもの近視の原因は「遺伝」と「環境」
子どもの近視の原因のひとつに「遺伝」があります。
いくつかの研究によって、親の片方、もしくは両方が近視の場合、その子どもは小さい頃から目が悪くなりやすいことが分かっています。
しかし、遺伝の要因とは「あくまでも確率の話」なだけであって、親が近視だからといって、その子どもの目が必ず悪くなる、ということではありません。
むしろ、遺伝より影響を受けるのが「環境」です。実は、最新の研究によって近視が進行したり、抑制されたりすることが分かってきました。
眼軸長にはバイオレットライトが効果的
バイオレットライトとは、太陽光に含まれる光の一種です。
太陽から降り注ぐ光(電磁波)は様々な波長があります。私たちが見える光(可視光線)というのは、太陽光のごく一部に限られます。光の波長が長くなっても、短くなっても見えなくなります。
可視光線より、波長の短いものを紫外線、長いものを赤外線と呼びます。バイオレットライトは、可視光線と紫外線の丁度中間にあたる「紫色に見える光」のことです。
この光を当てることで子どもの眼軸長が伸びるのを防ぐことができます。
しかし、このバイオレットライトですが、現在の人類を取り巻く環境では私たちの元へはほとんど届かないものになってしまいました。地上に降り注ぐ太陽光にはバイオレットライトの光も含まれていますが、現在主流となっているLEDを始め、蛍光灯などの人工的な光には全く含まれていません。
さらに、私たちが普段から使っているメガネや車や住宅のガラスには「UV400」「UVカット」という加工が施され、紫外線を透過させないようになっています。
もちろん、紫外線による病気を防ぐという意味では、UVカットもUV400も大変有効であることは間違いありません。
しかし、清潔化が進んだせいでぜん息やアレルギー患者が増えてしまったように、現代社会では行きすぎたUVカットのせいで近視が増えたという可能性も考えられます。
子どもの近視予防法
では、どうしたら子ども達を「軸性近視」から守れるのでしょうか。結論からお伝えすると、子どもを「外で遊ばせる」ことです。
子どもの近視予防では視力検査で0.6~0.7と言われたタイミングが近視のなり始めです。もし、視力が0.6以下で既にメガネを掛けているお子さんがいるのなら、すぐにでもメガネを外して屋外で過ごすようにしましょう。(もちろん、学校など必要な時は無理にメガネを外す必要はありません)
しっかり外で体を動かすことは、脳の発達や健全な社会性を育むという意味でも大きなメリットがあります。
一方で光を浴びる害としては、日焼けや皮膚がんのリスクが挙げられますが、そのリスクを強調し過ぎるあまり、外に出て太陽光に当たる時間が減ってしまって近視が進行してしまっては本末転倒です。
太陽光を浴びる時間は1日2時間程度が理想です。
オリンダ・ジョーンズの研究によると、「1日2時間以上外で遊んでいる子どもは両親が近視でも近視にならなかった」という報告があります。
ちなみに、2時間外で太陽光に当たることが大切なのですが、必ずしも直射日光を浴びる必要はありません。外の光環境はとても強いので、むしろ子ども達が外遊びをするときは必ずツバのある帽子を被せて直射日光を避ける工夫をしてください。
ちなみに、我が家の外遊び対策はコレ!
まだ未就学も子どもだと、なかなか外遊びをさせるのが難しかったりします。
公園で遊ばせるにしても、うんていやブランコ、滑り台なんかは見ているこっちがハラハラする場面が多かったり、一緒に遊ぶにも意外と体力が必要です。
うちの子どもは「次はあれで遊びたい~」と1つの遊具で遊んでくれずに、公園の遊具をぐるぐるローテーションで遊んでくれる時はまだマシですが、体力はガリガリ削られます。でも、これならまだ正直ありがたいです。
気分が乗ってくれない日は公園にすら入ってくれません。
太陽の光を浴びさせたいと思う親心は、なかなか子どもには届かないようです。
そんな中で、楽しくかつ親の体力も削らないおもちゃを発見したので、ご紹介します。
その商品こそが「三輪車」です。我が子は乗り物がお好きなようで、押したり引いたり、(たまに乗ったり…本来の使い方はあまりしてくれませんが。)熱心に遊んでくれています。
上の画像の商品(中野製作所:へんしん サンライダーFC)はカジ取り棒つき三輪車→三輪車→ランニングバイクに変身する商品で、2歳~5歳まで遊べるものです。
↓ 実際に我が家でも大活躍しているサンライダーFCのレビューです。よろしければこちらもご覧下さい。
三輪車やランニングバイクをそれぞれで買うと以外と高くついたり、処分の時に大変だったりするので選んでみましたが、正解でした。
もう1つオススメなのが、お砂場セットです。これも1カ所で黙々と遊んでくれるので親としては体力面で助かります。価格も2000円~3000円とお手頃なので、コスパとしては良いかもしれません。(ただし洗濯物が増える覚悟は必要です。)
もっと詳しく知りたい!と思われる方にオススメの書籍
今回は、坪田一夫先生著書「あなたのこども、このままだと近視になります」の内容を参考にさせて頂いています。
もし、もっと深く知りたいと思われましたら本書を一度手に取ってみてください。