今回は株主優待で人気の【コジマ(7513)】についてご紹介します。
現在、家電量販店銘柄の株価が軒並み下落していてどの銘柄も手が届きやすくなってきています。
ことコジマに関しては5万円前後で買えるお手軽価格のわりに、総合利回り(配当と優待の合算額面)が高く、これから優待投資を始めたい方にも手が出しやすい銘柄です。
コジマの株主優待は、同社だけでなくビックカメラでも使うことができますので、近くにコジマが無くて使えないということは少ないかもしれません。
ちなみに、ビックカメラも株主優待を実施していますが、現在株価が1,000円近辺とコジマより2倍近い水準で推移しています。そのため、優待が欲しい場合にはコジマの方が取っつきやすい印象です。
株価も長期的に見て下値ラインに到達してきている状況ですので、下限は限定的との判断で今回銘柄紹介でピックアップしてみました。
子育て給付金の5万円+αで購入できる安さが魅力!
ただ、利回りや優待が良いからといって安易に飛びつくと痛い目に会うことも…
株価の暴落に巻き込まれた!
業績不振で優待廃止された!
こうした失敗をしないためには、銘柄を選ぶ際に利回りの高さだけに目を奪われてはいけません。
基本的に長期間に渡って高配当を維持している企業というのは「今後の成長が見込めない会社だが安定的な経営が出来ている」いわゆるおじいちゃん企業です。成長性が無いため、会社として新たな投資はしない代わりに利益を株主に還元する方針の企業が高配当となる所以です。
中には経営がガタガタで株価が暴落した結果、高配当となっている場合もありますし、年間の利益以上に配当として還元している企業でいつ減配されてもおかしくない場合など、いわゆる「罠銘柄」なんていうのも高配当の世界には多数存在します。
そんな罠銘柄に引っかからないためにも企業分析は必須です。
特にコロナ・ショックの影響により、業績の悪化を予想して株価の下落に見舞われている大企業も少なくありません。その一方で増収・増益で上方修正している企業もあります。高配当だからといって安易に飛びつかず、必ず業績の健全性を調べてから、買う、買わないを決めるようにしたいですね。
時間の無い人に、記事の要約です!
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(株)コジマ(7513)の事業概要
郊外型の中堅家電量販店。主な事業内容は家電製品および電機製品の販売および修理・工事(コジマ「会社」より引用)2112年にビックカメラの傘下(ビックカメラはコジマの発行済み株式のうち50%↑を保有)に。ビックカメラの支援で店舗改革、経営の再構築を図る。この時期に親会社のビックカメラの決算期に合わせて8月決算に変更。今後はビックカメラの非家電製品等も販売し、顧客拡大を図る。(Wikipediaより引用)2021年8月期の実績にはビックカメラへの役務提供等に関わる費用負担18億円が販管費として計上。(「2021年8月期決算説明会資料」より引用)
近年はビックカメラ風のロゴを全面にあしらった店舗が増えて、コジマのロゴを見る機会が少なくなりました。
全国140店舗超のうち、90店舗以上がビッカメ風ロゴに!
投資指標データ
2021.11.25終値ベースでの数値です。
ミックス係数 ⇨ 10.01
- PER(株価収益率):13.54
- PBR(株価純資産倍率):0.74
- ミックス係数とは
- 当期純利益と純資産から現時点の株価の割安性を評価する指標です。
PER(株価収益率)×PBR(株価純資産倍率)
ベンジャミン・グレアム氏は、ミックス係数が22.5よりも小さな銘柄が割安株だと述べています。ただし、この22.5という数値は米国株に当てはめた時の数値ということで、日本株の場合にはこの更に半分の11.25が妥当という見方もあります。
Kabutanより引用
コジマの株主優待&配当
株主優待制度
コジマの株主優待は同社以外にも、ビックカメラグループで使用可能な「自社優待券」です。
権利確定日 | 8月末日 |
優待内容
同社は2021.7に長期保有制度を新設しました。「長期保有株主様向け株主優待制度新設のお知らせ」より引用
保有株数 | 1年未満 | 1年以上 (+1,000円分) | 2年以上 (+2,000円分) |
100株以上 | 1,000円分 | 2,000円分 | 3,000円分 |
500株以上 | 3,000円分 | 4,000円分 | 5,000円分 |
1,000株以上 | 5,000円分 | 6,000円分 | 7,000円分 |
3,000株以上 | 15,000円分 | 16,000円分 | 17,000円分 |
5,000株以上 | 20,000円分 | 21,000円分 | 22,000円分 |
有効期限 | 1年間(発行翌年の11月30日まで) |
利用方法 | 合計1,000円(税込み)以上のお買上につき、お買上金額まで利用可能。 ただし、金券やその他コジマが指定した商品等には利用不可。 |
長期保有優待は100株保有で最大3倍になる破壊力を秘めた制度です。
利回りも爆発的に改善されることから、個人投資家の囲い込みを図る意図で新設されたと考えて間違いないでしょう。
優待の種類もグループ企業限定の商品券ですので、優待改悪もされ難い種類であることも好感できます。
配当金
2022年の予想配当金は非開示です。
これまでの配当実績
コジマは中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を基本方針「有価証券報告書ー第59期より引用」としています。
ただ2013年より中間配当はなく、実質期末一括配当となっています。
2006年 3月 | 2007年 3月 | 2008年 3月 | 2009年 3月 | 2010年 3月 | 2011年 3月 | 2012年 3月 | 2012年 8月 | 2013年 8月 | 2014年 8月 | 2015年 8月 | 2016年 8月 | 2017年 8月 | 2018年 8月 | 2019年 8月 | 2020年 8月 | 2021年 8月 | |
中間 | 6.5 | 6.5 | 6.5 | 6.5 | 3.5 | 5 | 5 | – | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
期末 | 10 | 10 | 10 | 0 | 5 | 7 | 9 | 4.16 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 | 12 | 14 |
年間 | 16.5 | 16.5 | 16.5 | 6.5 | 8.5 | 12 | 14 | 4.16 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 | 12 | 14 |
総合利回り
現時点の優待と配当が分かったところで総合利回りを計算してみます。
- 株価:562円(2021.11.25終値)
- 配当:14円(2021年実績)
- 優待:100株1,000円、1年2,000円、2年3,000円
100株保有時の総合利回りは4.2%、長期保有で最大7.8%!
長期保有パワー!侮れない数字を叩き出す!
7.8%はあの長期優待を廃止したヤマダHD(9831)と同じ利回りです。
コジマは配当だけでも4.2%と、仮に優待が無くなったとしても高配当投資基準に合格するレベルです。
しかし、ここで焦って飛びつくのは危険です。罠銘柄の可能性も考えて冷静に企業分析していきましょう。
企業情報を調べてみた!
株主優待や配当が高くて魅力的に映りますが、企業が安定して株主還元をするには安定した収益と財務基盤が必要です。
ここではコジマが株主還元を続けてくれるのか考察するために決算情報をまとめていきます。
※2012年8月度は5ヶ月間の変則決算のため数字が小さく見えています。
売上高推移においては2015年を底に徐々に回復基調にあります。
前回、同業他社で高利回り銘柄のエディオン(2730)の記事で2022年の業績展望について少しご紹介しました。
今後の家電業界について、どの企業も2021年は営業利益・経常利益共に最高益を叩き出しました。これは政府の特別定額給付金が「巣ごもり需要」「テレワーク需要」「コロナ対策商品需要」を受けて資金が流入した結果、売上高に貢献した影響があります。
すなわち、2021年度が特需で業績が伸びた分、翌年度は前年比ベースでの売り上げを作っていくのはハードルが高いと言えます。
「ベビセフ(エディオン(2730)株価低迷で総合利回り8.1%!今が狙い目か!?)」
すなわち、コジマにしても「2022年度の売り上げ成長は難しい=株価上昇も厳しいのでは?」というのが私見です。
自己資本比率
コジマの自己資本比率の推移を表しています。
- 自己資本比率
- 自己資本比率は会社経営の安定性(倒産リスク)を示す数値です。
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%を占めるかを示す数値で、自己資本比率が高いほど経営は安定し倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は一般的に40%を下回ると高いリスク群と判断されます。
業種別では「小売業」の目安が36.7%(doda「自己資本比率とは?業種別で何%くらいが目安なの?」参照)に比べて高い水準で推移していることが分かります。
10年超の期間では2010年の27%から直近52%と約2倍まで回復させてきています。特にビックカメラと資本業務提携した2012年を底に着実に積み増してきているのが分かります。
配当性向
配当性向は今後の減配リスクを予想する上で重要な指標です。
コジマの今期の配当は今期未開示です。
グラフがメチャクチャです…
2015年までは度々赤字を出していて配当も満足に出せない期間があったため、非常に見にくいグラフになってしまいました。
見るべきポイントとしては2016年からでしょうか。EPSも徐々に伸びてきてここ3年配当も上がってきています。
2021年の配当利回りは約2.4%です。あと一声で高配当の仲間入りできそうですが、実質的な実績は3年間しかありませんから今後もこの様な推移で配当が伸びるかと聞かれたら、信頼性に欠けると判断せざるを得ません。
年間チャート
同社の1年間のチャートです。
2021年4月の946円を高値に半年以上下落し続けています。
移動平均線もきれいに下降トレンドを示唆していますので、現時点ではまだ手出し無用感が満載なのは否めません。
現在の株価水準は2020年9月振りの価格圏にあり、地合の悪さも相まって下げ止まる様子はありません。
2021年8月期決算説明会
●売上高
公表予測を若干下回るも概ね予想通り。前期比103.2%と伸びているが、上期の要因としては「巣ごもり需要」「リモートワーク需要」を取り込んだ結果、テレビ、ゲーム機、パソコン周辺機器、エアコン、空気清浄機の販売数が伸びたため。また下期に関しては特別定額給付金の特需からの反動でエアコン、冷蔵庫などの大型家電機器が低調となったため。
●利益
インターネット通販の販売戦略の見直し、PB商品の拡販により売上総利益率の改善、固定費の削減と変動費のコントロールにも努めた影響が大きい。
●2021年8月期の実績にはビックカメラへの役務提供等に関わる費用負担18億円が販管費に計上されています。
●既存店戦略
各イベントを抱き込んで家電製品以外でも集客を図るとしています。
幅広い客層を取り込めるようにビックカメラ製品の非家電製品の取り扱いの拡充。
機能面の優位性アピールだったものから顧客の生活イメージを湧かせるようなストーリー性のある訴求の切り口に変更。
●ネット通販戦略
より利便性の向上を図り売上高向上を目指す。
コジマまとめ
1~3は長期優待が廃止もしくはそれが要因で株価の下落も一時的とする予想です。
長期優待の新設や配当金の復活など株主還元姿勢を見せてくれている印象を持ちます。
ただ、4はこれまでの1~3とは逆行する要因です。長期保有するための肝心の配当金実績が乏しいところが頂けません。
総合利回り7.8%と高利回りで魅力的な銘柄ではあるのですが、斜陽産業の印象が強い家電量販店銘柄。
正直同じ利回りなら同業他社のヤマダ(9831)の方が魅力的に映ります。
内需産業でもあるため、業界的に大きく伸びる可能性は低く、長期保有するには決算資料を調べた上では不安材料の方が大きいと判断しました。
他の家電銘柄も見ておこう!
今回はコジマについて書かせて頂きましたが、他にも家電量販店銘柄について記事を作成しています。
よろしければ、そちらも合わせてご覧頂ければ幸いです。
このページは管理人が行っている株主優待投資の記録用です。記事の内容も執筆時のものであり、内容の正確性は保証致しかねますので、あらかじめご了承下さい。また特定の銘柄を推奨するものではありませんので、併せてご理解の程お願い致します。